
ips株式会社 (4390)とは?
元々は海外人材を日本に紹介する事業からipsは始まった。2005年から在留フィリピン人向けの訪問介護員養成事業を発足し、2012年にはフィリピンでケーブル事業者向けに国際通信回線の提供を開始してます。
フィリピン国内で国内電気通信事業を行う「InfiniVan.inc.」が通信事業適格であると認められ、フィリピン国内での通信事業を推進しました。現在は同社が5G無線通信サービスを始めるための周波数の割り当てを2019年6月に受けて事業を推し進めています。
フィリピンでの通信サービスを提供しつつ、日本の化粧品を販売したり、他方ではフィリピン人の介護人材を日本に紹介したりして利益を上げています。
ipsのファンダメンタル分析
回次 | 第29期1Q | 第30期 | 第29期 | |
会計期間 | 2019年 4/1-6/30 | 2020年 4/1-6/30 | 2019年 4/1-3/31 | |
売上高 | (千円) | 1,577,664 | 1,813,850 | 6,508,904 |
経常利益 | (千円) | 231,857 | 286,142 | 1,075,502 |
純利益 | (千円) | 139,672 | 193,693 | 645,209 |
包括利益 | (千円) | 183,039 | 176,562 | 820,306 |
純資産額 | (千円) | 4,007,847 | 5,022,912 | 4,715,779 |
総資産額 | (千円) | 6,784,761 | 11,505,419 | 7,790,591 |
1株当たり当期純利益 | (円) | 11.41 | 15.67 | 52.43 |
自己資本比率 | (%) | 48.6 | 35.3 | 49.9 |
売上高は前年同期比15.0%増、経常利益は23.4%増という上々の着地でした。コロナが騒がれだした4月ごろは売り上げに陰りがありません。ただ会社予想の進捗率としては未だ20%程度と届いていない結果になっています。
時価総額277億円で営業利益が10億円。PERも26倍と未来の業績を織り込んで株価が先行しているイメージでしょうか。ROE18%と高くて機関投資家が買ってくれる可能性も考えられます。
自己資本比率の悪化は15年間の 通信回線使用権仮勘定分28億円が資産として計上されたためです。しかし流動比率は1.1倍と問題ないレベルにとどまっています。営業CFもプラス推移で投資CFが高いのも良い。どんどん投資して成長していってくれー。
フィリピンでは7~8月にかけて感染者が増大しており、足元の美容外科や眼科医院での集客が減少しています。一方で巣籠り需要によりCATVの需要は旺盛であろうからプラマイゼロかもしれない。
それでも4月にコロナで売られたところを見ていると、やはり株は需給だなと思います。
ipsは右肩上がりに上昇中

売上高も経常利益も右肩上がりで増収増益ですね。理想的な売り上げ推移だと思います。次第にPERも低下してきて、もっと株価も伸びていくと期待しています。
・5G関連の盛り上がりでバックボーン回線の需要も高まることが予想
・富士山型人口ピラミッドのフィリピンで若年層を対象とした美容外科や眼科医院の設立など目の付け所がいい
・創始者が発行株式数の40%越えの大株主
ipsの事業基盤
国内外通信事業・フィリピン通信事業・在留フィリピン人の紹介事業・フィリピン国内での医療と美容事業の4本柱で成り立っています。いずれも高収益な柱に育ちつつあります。
これらはカスタマーのニーズと専門業者を結びつける仲介業であり、AirbnbやUberといった業種と似ていると感じています。
海外通信事業
国外はフィリピンと北米、香港を結ぶ国際回線を現地のケーブルテレビやインターネット接続事業者に提供。
フィリピンでは未だに通信速度が遅くて料金が高い劣悪な回線業者が多い。そこで 長期的・安定的な通信回線使用権を調達して、小口容量に分割して各業者に使用権の譲渡を行っている。
2020年5月にはオーストラリアの通信事業者の海外部門子会社から国際海底ケーブルの使用権を取得すると発表が出て株価が跳ねたのも覚えておきたい。
ソフバンやKDDI、ドコモを見ていれば通信インフラがいかに重要で、かつ利益を独占できる代物かは想像に容易い。
フィリピン国内通信事業
連結子会社InifiniVAN.Inc.がマニラ首都圏においてインターネットサービスのプロバイダを展開している。
フィリピン国内区間を含む国際通信回線を提供するにはフィリピンの通信事業ライセンスを有する通信事業者と提携することが必要。加えてフィリピンでは大手2事業者による寡占状態であり、新規参入は容易ではない。
ちなみにipsはこの大手二社から余っている回線の提供を受けてCATV業者向けに卸売りしており、大手二社は携帯電話を中心の小売りが主力のため住み分けも出来ている。
そのため1990年代からフィリピンでの販路を広げていたips株式会社にしかできない事業といえる。
2018年9月には事業者適格のPAを取得したことでフィリピン全土での通信事業が可能となった。またマニラ首都内の光ファイバー敷設といった通信インフラの高速化に寄与する事業も行っている。これらの整備が整えば取得した国際海底ケーブルが有効に活用できるなどシナジーが大きい。今後のさらなる成長が期待される。
フィリピンでのCATVの市場環境
やはりYOUTUBEなどの視聴数が増えてCATV事業者は収益が出なくなっている。そのためインターネットプロバイダーに転身する事業者も多い。が、サードパーティなので台頭している通信事業者に打ち勝つ魅力が必要となる。
もしCATV業者がこぞって撤退した場合はipsの収益も低下する可能性あり。
国内通信事業
コールセンター事業者向けにコールセンターシステムを提供している。ソフトバンクの国際電話サービスの代理店として活動をしてきた実績あり。収益の大部分は音声通話だが、IP電話の台頭で需要減少傾向にある。
現在ではコールセンターの集積地であるフィリピンで採用されているコールセンターシステム体系を日本国内向けに逆輸入して販売するという面白いビジネスもしている。
国際電話サービスではテレグローブジャパンを2002年に買収し、第一種通信事業者として事業展開を開始した。買収により携帯電話会社と相互接続することができるようになり、サービスの仕入れコストが数分の一に減少したのは注目すべき点。
在留フィリピン人関連事業
訪問介護員講座を在留フィリピン人に紹介し、その修了者に対して派遣仕事の斡旋をするビジネスを主幹としている。すでに5000名以上の紹介実績あり。運営はフィリピンの連結子会社KEYSQUARE.Inc.に委託している。
その他にも総合的な人材派遣業を行っているが、コロナの影響でインバウンド需要が低迷して人材需要も低下している。そのため当面は依然ニーズの高い介護系を中心に模索していく。
この人材紹介業は未だ東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県に限られており、それ以外の地域への大々的な進出により売り上げの伸び代がありそう。
医療・美容事業
日本の化粧品販売に活路を見出して事業を始めちゃいました。
フィリピンで素早く日本の化粧品を浸透させるために考えた作戦が、美容クリニックを設立すること。美容意識の高いお客さんが「日本の化粧品いい!」といって買ってくれると考えたわけです。
さらにフィリピンの富士山型人口ピラミッド⇒若年層が興味を持つことはゲームや漫画などだ⇒目が悪くなる子供が増えるだろう
そういう連想ゲームから近視矯正に特化したクリニックも開院しました。結果はレーシック手術を中心とした需要がとても高く収益は予想よりも高い売り上げで推移しています。3店舗目をオープンしたものの、コロナで客足が減少しているのも事実であって注視が必要。
おわりに
2020年7月にシンガポールでの通信事業を始めるために約2億円の増資を実施して海底ケーブルをフル活用しにかかります。
またフィリピンでも通信大手のPLDTと共同して5Gや光ファイバ回線網を増強していきます。これからが楽しみな会社です。