コシダカHDはカラオケの企業
コシダカホールディングス(以下、コシダカHD)はカラオケチェーン「まねきねこ」を直営展開する企業。
女性フィットネスカーブスも運営していたが、2020年3月にスピンオフで離脱。これ以外に温浴施設、不動産投資がわずかに存在。ゆうて全体の4%程度です。
まねきねこで使える金券が優待で貰えるため、カラオケ好きにはもってこいの銘柄。
コシダカHDの株主優待
株数 | 保有1~2年 | 保有3年~ | 優待利回り% |
100株 | 2,000円 | 4,000円 | 4.3 |
400株 | 5,000円 | 10,000円 | 3.0 |
1,000株 | 10,000円 | 20,000円 | 2.2 |
優待利回りも高く、3年以上保有すれば優待利回りはさらに倍! カラオケが嫌い出ないなら優待狙いで100株だけポートフォリオに組み込むのが吉です。
ちなみに配当利回りは1.5%なのでわざわざNISA枠を使って買わなくてもよいです。お得な株主優待は税金がひかれる訳でないので特定口座でいいと思います。
カーブスHDが日本初のスピンオフIPO
コシダカHDといえば、女性フィットネス事業のカーブスを日本初のスピンオフIPOした企業として話題になりました。
スピンオフでは上場したカーブスHDの株をコシダカHDが約9割保有しています。残りの1割は新株予約権として一部の役員に配られたようです。これは完全なる希薄化なので市場にも嫌がられました。
コシダカに入ってくる配当額も100%⇒90%へと減少してしまいます。なぜ彼らに多額の新株予約権が与えられたのかは謎です。創業者でもないのに。
事業領域 | 売上高 | 経常利益 | 経常利益率 |
カラオケ | 18482 | 2279 | 12.3 |
女性フィットネス | 14302 | 3005 | 21.0 |
温浴 | 812 | 58 | 7.1 |
不動産投資 | 384 | 8 | 2.1 |
上表はスピンオフ前のコシダカHDの事業領域と経常利益率です。
利益率ではスピンオフするカーブスHDが21%でトップ。ほぼ完全子会社なのでコシダカHDの会計上はスピンオフ前からさほど変わらない?と考えていいのでは。
しかしカーブスHDも上場時に新株発行しているため、単純に1割ほど希薄化もしています。実際にIPO直後の株価を足し算して比較しても、もとの1500円くらいの株価から1割ほど目減りしているようでした。
コシダカHDのIR情報
回次 | 第48期 | 第49期 | 第50期 | |
決算年月 | 2017年8月 | 2018年8月 | 2019年8月 | |
売上高 | (千円) | 55,283,582 | 61,771,031 | 65,840,277 |
経常利益 | (千円) | 6,354,250 | 8,207,893 | 9,562,273 |
当期純利益 | (千円) | 3,255,570 | 4,426,599 | 6,226,534 |
純資産額 | (千円) | 22,663,798 | 26,697,244 | 31,815,081 |
1株当たり純資産額 | (円) | 266.36 | 315.51 | 391.24 |
1株当たり当期純利益 | (円) | 43.63 | 54.44 | 76.57 |
自己資本比率 | (%) | 49.6 | 37.5 | 44.1 |
自己資本利益率ROE | (%) | 18.5 | 18.7 | 21.7 |
株価収益率PER | (倍) | 18.65 | 21.51 | 23.12 |
営業活動CF | (千円) | 9,209,089 | 8,327,121 | 12,577,764 |
投資活動CF | (千円) | △6,317,007 | △23,405,662 | △8,732,380 |
財務活動CF | (千円) | 4,659,138 | 13,276,016 | △3,193,404 |
フリーCF | (千円) | 2,892,082 | -15,078,541 | 3,845,384 |
現金及び現金同等物残高 | (千円) | 13,754,885 | 11,889,007 | 12,530,137 |
上記の有価証券報告書はカーブスHDのスピンオフ前ですが、下記グラフのように売上も経常利益も右肩上がりでよい企業だなーと思います。
稼ぎ頭だったカーブスHDがなくなるとカラオケ事業の一本足になるコシダカHDですが、経常利益としてはカーブスHDの配当が載ってくるのでさほど悪くない印象です。
また受け取る配当収入には法人税が掛からないのでカーブスHDが配当を出せば出すほどコシダカHDに還元されることになります。うまうま。

財務面では自己資本比率も営業CF、フリーCFも健全ですので大丈夫だ、問題ない。載せてませんが流動比率も1.5倍あります。
次回の決算をみて理論株価を計算しなおしてから購入するかを考えようかと思っています。
スナックタウンの発足
ここからは期待の新事業のお話です。ホットランド、コシダカ、ランシステム、USEN4社での共同出資でVRスナックタウンを20/4/27に発足します。
「まるで店舗にいるかのような感覚を自宅で味わうことができる」スナック・BARのバーチャルサービスの提供を謡ったサービスです。試用期間に参画した企業には下記のような特典?が与えられます。
加盟スナック新規で加盟される先着30店舗に初期費用(ライブ配信器材・通信費)無料で提供
りゅのんの考察
スナックの利用者数は下がり続けている。客足が遠ざかる理由は下記の厚生労働省のスナック・バーの調査によると「入りにくさ」が一位らしい。
また一度スナックにいくぞ、と決めた人はネット上のスナックナビで検索は可能である。そのためスナックタウンのサービスにはスナックと客を結びつける役割は期待できない。

ただ知名度向上を目的として多くの店舗が参加したがるのは確かだろう。
スナックタウンの詳細をみると利用料金は30分1000円と高め。ポイントを購入してVR体験でお話をする形式であって、Youtubeのように投げ銭もできる。
つまりはスナック店員の時間を1000円/0.5hで購入できる一対一のZOOM会議に近い。一方的に放送するYOUTUBERとは少し形態が違う印象である。
スナックタウンで考えられる優位性と問題点
スナック・バーの利用者数は減少状態であり、とくに若者はスナックと聞いただけで行こうという気にならない。そういった若年層を取り込めるかが正式にリリースしたときの勝負の分かれ目です。
スナック側の優位性
・他スナックと知名度に大差付けられる
・加盟で売り上げの何割か?を受け取れる
・投げ銭があるため客単価が高くなる可能性
客側の優位性
・地理的に離れた店舗でも気軽に雰囲気を試せる
・不特定多数の人間と知り合える?
・お話がしたいだけでもOK
スナック側の問題点
・機器導入や店員などオンライン用のリソースが必要
・オンライン専用の別室を用意して対応する必要
・人気キャストが辞めると収益が不安定になる
客側の問題点
・30分1000円と値段が高い
・ウェブカメラなどVR関連機器が必要
・お酒を自分で用意する必要があり面倒
コシダカHDの活動
まねきねこ海外拠点5か国目の新店舗
2020年3月、韓国で6店舗、シンガポールで9店舗、およびマレ ーシアで6店舗、タイで1店舗の4か国に加え、インドネシアでも新店舗が1店オープン。とくに東南アジアではドリンクバーを設置する日本型のカラオケサービスが好評の模様。
ワンカラへの投資とすきっとの撤退
ワンカラはコンデンサマイクで歌えるということでカラオケ好き勢に需要あると思います。ただそこまでやるならDAWでのピッチ・タイミング補正やミックスサービスまであると需要があるんじゃないかな、と思ったりします。
すきっとに関してはまあ利用されないだろなという印象。
DAMやJOYでも手持ちのスマホがリモコンになるとか、動画を取ってみんなで盛り上がるとか宣伝しています。しかし友人といっても、一人で行っても、歌ってばかりでそんな機能には目も暮れません。使ったことすらない。
なぜかというと、基本的にはカラオケは時間制限があるからです。限られた時間の中で目的の「カラオケ」を果たすことに集中するため、他のサービスなんて利用しようとも思いません。
第一興商やJOYSOUNDもこの辺をはき違えています。また同様にレストラン事業とのミックスでコンフォート環境を目指したシダックスも失敗しています。カラオケはあくまでカラオケをしに来る場所であって、それ以上でもそれ以下でもないのです。
録音とか採点機能は「カラオケ」を楽しむために必要不可欠な機能ですが、写真撮って背景にするとか無駄な機能は需要がないことに気づいて頂きたいと思います。
コシダカHDの考察総評
国内カラオケ事業はすでに全国に店舗展開しており、新規開拓先は海外しかない状態です。海外に拠点を広げていくのは正しい判断だと思います。あとはカーブス事業の拡大による配当金の増加を祈ります。
コロナの影響でコシダカの全事業の頭が抑えられていた形のため、次回決算は非常に気がかりです。コロナが長引いてまた閉鎖になると経営に大打撃です。そこも勘案しつつ今後を見守りたいと思います。
期待する新事業もそうないのでグンと成長する可能性は低いですが、コロナからの適正株価へ戻る動きを狙っていく形になるのかなああああ。